ほうき星を追いかけて

星のこととか、日々感じたこととか、いろいろ。

儀式は白魔術でお願いします

もう獅子座の季節?はやーい、なんてことを書いていたら、あっという間に乙女座の時期に入っていたというオチ。しかも9月1日からは水星が3回目の逆行を開始しています。社会天体にトランスサタニアンにとお空は忙しいですねえ。

……この姿勢、仮にも星読みをする人間(通称:星読博士)としてどうなのか、小一時間問い詰めたいところです。が、とりあえずこんばんは。

なお、前置きが長いんじゃという苦情は受けつけておりませんので、ご了承ください。

さて、先日『秘密の花園』の映画版を観ていたのですがーー、この本については何度もブログで書いていますね。私のお気に入りの作品です。初期の方で取り上げたりもしました。

wakaba-star26.hatenablog.com

何が好きって、メアリやコリンが様変わりしていくのもそうですが、文章越しに美しい自然を感じることができることです。

お花を育てながら、新鮮な空気の中で友だちと遊ぶ。ど田舎育ちにとっては懐かしい風景です。私が小学生だった頃は、携帯電話を持っている子なんてほとんどいませんでしたからね。塾に通っている子がキッズ用のガラケーを持たされていたくらいです。

なので、ゲームをしない時には、メアリたちのようにお庭で騒いでいました。散った花びらを押し花にしたり、色水を作ったり。今となっては遠い過去のお話です。

名作の映像化とあって、映画の方も十分にすばらしい出来となっていましたが、個人的に気になる点がいくつかありました。

まずはコリンとの喧嘩のシーン。欲を言えば、原作通りに演じてほしかったです。というのも、あのシーンがあるからこその「メアリとコリン」だから。

病気であることを鼻にかけ(というとおかしな表現になりますが)、死をちらつかせながら使用人に辛く当たる彼に、「死にたきゃ死ねば?あんたみたいな嫌な子、いなくなったって誰も悲しまないし」と噛みつくメアリ。対等の立場で反撃を喰らったコリンは、怒りをバネにして立ち直る……。原作ではこういった流れだったはずです。

自分勝手に生きてきたメアリの無神経な発言で、独裁者コリンの鼻が折れてしまうという、滑稽ながらも胸がスカッとする場面なのですが、映画では会話の延長戦上で摩擦が起きたように描写されていました。違和感はありませんでしたが、あのシーンが一番好きな私としては少し物足りなかったです。

メアリさまの短所がいい方向に出ている場面なんですけどね。



最初から色々と設定が変わっていたので、物語を進める上では妥当な展開なのかもしれません。

言い合いのシーンに対する未練はここで置いておくとして、問題は「魔法」の場面ですよ。なぜ黒魔術的な演出にしたのか。

夜、それもおそらくはみなが寝静まっているであろう夜中に、子ども三人(うち二人は10歳)が焚火の周りをぐるぐる回りながら呪文を唱えるという。ちょっと、完全に悪魔とかを呼んでしまうタイプの儀式じゃないの。しかも、最後は全員がバンザイの状態でカメラが引きつつのフェードアウトとな。

頼むから、バーネット先生の思いを汲んであげて。

いや、受け手に分かりやすく描写したかったのは理解できるんですよ。日本ではあんなに可愛いアシュリーちゃん(『メイドインワリオ』に出てくるキャラクター)が、向こうでは恐ろしげな歌詞を歌っていますから。

youtu.be
(英語バージョンは後半からになります。どちらのアシュリーちゃんも魅力的)

でも、でもね。バーネットさんはメアリに「いい魔法よ。雪のように白いの」ってわざわざ言わせてるんですよ。これって、いい魔法が……。例えば、ガンダルフダンブルドア、妖精のおねーさんが使うような善なる魔法が、この世界の中にはあると伝えたかったからではないでしょうか。

秘密の花園』の舞台はイギリスです。聖書という単語だって出てくるし、何ならディコンは頌栄を歌います。

そういったキリスト教が根づいている世界、魔法や魔女についてよくないイメージを持っているであろう世界での、あえての「白い魔法」なんです。そこを上手く消化できなかったのは惜しいなと。きっと、バーネットさんが一番表現したかったのって、この魔法の下りだと思いますから。

というわけで、ところどころに「んもうっ、分からず屋めっ」と思った箇所はありましたが、全体的には満足のいく出来栄えでした。

見どころといえば、子どもたちの演技ですね。コリンやディコン役の子もお上手でしたが、何よりメアリが魅力的です。そして、マギー・スミス演じるミセス・メドロック。これも原作とは違う立ち位置になっていますが、これはこれで味があるなと思えるくらいに仕上がっていました。さすが大物女優。

エンディングで流れる、リンダ・ロンシュタットさんの「Winter Light」もとても美しい曲です。映画を最後まで観た上で聴いてみてほしいです。

映画版、『秘密の花園』。興味がある方はぜひご覧になってみてください。