ほうき星を追いかけて

星のこととか、日々感じたこととか、いろいろ。

『ダーク・タワー』シリーズ、読了


好きだからこそ言いたい


おそらくは誰も興味がないであろう私の読書感想文。その中でも『ダーク・タワー』については、心が動かされないのにも関わらず、何度も話題に出てくるせいで少々うんざりしている。……読者さんの心の中を〈タッチ〉して書いてみましたが、いかがでしょうか。割と図星なんじゃない?

そんなあなたに朗報です。この度、わたくしは『ダーク・タワー』シリーズの全巻を読み終えました。つまり、この回で語りつくせば、今後ブログで言及される可能性は低くなるかもしれない。というわけで、もうひと踏ん張りいってみよう。興味がない方はブラウザバックしてくださいね。オタクが早口でしゃべっているだけですから。

できる限りネタバレを避けて書いていきたいと思いますが、まずね、最終巻を読んだあとに出てきたのは「慈悲はないのか……」という呟きです。エシディシさんなら「あァァァんまりだァァアァ」って泣きますよ。エピローグがどうこうという話ではありません。とにかく、読者さんが気の毒すぎて。

ある意味、キングらしいっちゃキングらしいですが、この終わり方で『ダーク・タワー』ファンは納得したのでしょうか。まあ、していないでしょうね。私もみぞおちの辺りがムカムカしますもの。ケーキの食べすぎで胃もたれを起こしているのに、お目当てのチキンが出てこなくて苛立っている。そんな気分です。例えが分かりにくくてすみません。

別にね、結末がモヤるのが悪いわけではないですよ。そのような作品はたくさんありますから。『ダーク・タワー』の場合は、エンディングにではなくて作品自体に靄がかかっているんです。それも風景をにじませる美しい霧ではなくて、畑で何かを燃やしたあとの煙のような。好奇心をそそらない(そのくせ臭う)謎が多すぎます。これはあかん。

ものすごく面白かったのにも関わらず、後半で失速してしまったのは、やはりキング自身のこだわりのせいかなと。というのも、彼はプロットを書かないんですね。構想を練らずに書いた作品で成功したという、天才じみたエピソードは私も大好きなのですが、今回ばかりは眉根をひそめざるを得ないです。風呂敷を広げるだけ広げて、きれいにたたみきれてませんからね。

お亡くなりになった三浦健太郎先生にも言いたい。行き当たりばったりで化け物を出すなと。



設定はこの上なく面白そうなのに、長編だと終盤がグダグダになる。これはキングの作品全てに通ずる特徴であり、また筋書きを重視していない全ての作家さんに共通している特徴です。素人の私が偉そうに言えたことではありませんが、短編や中編ならともかく、長編ならある程度の道標は必要だと思いますね。とはいえ、作りこみすぎるとつまらなくなるのがプロットですから、創作は難しいです。

後半部分にあたる5巻~7巻は少し奇抜な内容になっていて、思うに、ここで作品に対する評価が大きく分かれるのではないかと。私個人としては、あまり好きだとは言えないストーリーでした。B級映画的な演出は我慢できても、自由すぎる展開にはつっこみを入れたくなります。制限あってこその「世界観」だと思っていますので。

あとは……。やっぱりね、作者自身の本音が見え隠れする表現は人を選びますね。

子ども時代の幸運な出来事の一つとして、私はいつも『ハリーポッター(j.k.ローリング著)』シリーズを読んだことを挙げているのですが、これは作者のエゴによるところが大きいです。『ハリー・ポッター』にはエンタメ的な楽しい要素とユーモア、複雑な伏線がある一方で、キャラクターの造形にはかなり難があります。大人になって読むと、私怨丸出しの部分がよく見える。早くに気付いていれば、今ほど面白いとは思えなかったでしょう。幼い頃に読み取れなかったのは幸いでした。

うっすいココアをお供に読書をするのが好きです。

他にも「あれれ? 」と思う点はありますが、細かいことを挙げていくとキリがないので省きます。登場人物に関しても、スザンナ、エディ、ジェイクの三人組ーー。特にスザンナに対しては「それでええんか? 」と問いたいところですけれども、ひどい矛盾は感じられないので触れません。まあ、人間というのはよく分からない生き物ですからね。

というわけで、『ダーク・タワースティーヴン・キング著)』シリーズの感想を好き勝手に述べてみました。ボロクソに書いておきながらこう言うのもどうかと思いますが、個人的には満足度の高い作品でしたね。欠点ばかりあげつらっているのは、愛ゆえの鞭というやつです。その証拠に、1~4巻に関しては文句を述べておりません。

このシリーズがどのような方におすすめかというと、ダークファンタジーディストピアもの、精神世界、都市伝説に親しんでいる方は大いに楽しめると思います。19、99、21などの数字(18や3,6,9は出てきません。残念ながら)が出てきたり、赤い目のシンボルが頻繁に表れたりしますので、月刊ムーなどが好きな人にとってはたまらないでしょう。

大人向けのややドライな物語ですので、ハリウッド的な華やかさはありません。また、ファンタジー要素は満載ですが、いわゆる「剣と盾」の物語ではないということを頭に入れて読んだ方がスッとなじめます。普段から小説を読まない方には少々退屈かもしれませんね。

ついでに、同じファンタジーでも『ゲド戦記ル=グウィン著)』のような、計算し尽くされた世界がお好きな方には合わないと思います。ものすごく曖昧な場面が多いので(1巻、5巻以降)。よく分からない表現や、意味のない小道具もたくさん出てきます。

さて、ここまで読んで下さった方はお疲れさまでした。長文、駄文にお付き合い下さり、誠にありがとうございます。日曜日の誰得読書感想文はこれにて終了です。



wakaba-star26.hatenablog.com


「いきあたりばったりで化け物を出すのは『ベルセルク』ではなくて『彼岸島』なのではないか? 」という声が上がりそうですが、あの漫画はそれが持ち味だからいいの。

だって、丸太を持ってクリーチャーを倒すコメディ漫画でしょう。え、違う?まさか、ホラーなサバイバルコメディだったりするの?

……『彼岸島』ファンに石を投げつけられないことを祈りながら、のんびりと休日を過ごします。